公開日:2016-11-13十条銀座博物館 第16期展・福引チラシコレクションⅡ 泡沫崩壊と商業アート
十条銀座の商店街事務所には、戦前からの長い歴史を物語る商店街の古い記録が多数保存されています。
役所に提出した文書はもちろん、ポスターやチラシ、記念品、粗品のサンプルなどなど、今となっては大変貴重で
懐かしいお宝が、倉庫の片隅にひっそりと眠っています。
このコーナーでは、そうした資料を少しずつご紹介しながら、商店街が歩んで来た道を
ちょっと振り返ってみたいと思います。
今回は、福引セールのチラシ紹介・第2弾です。以前、12期展で昭和40~50年代のチラシを紹介いたしましたが、
今回は少し飛んで、平成6年~9年の福引セールです。まずはこちらをご覧ください・・・。
◆ 平成6年 十条銀座歳末福引大売出しチラシ ◆
◆ 平成6年歳末セールから平成9年歳末セールまで3年半の短い期間ですが、
すべて同じトーンでデザインされていたことにお気づきのことと思います。
これらのチラシは地元・十条のイラストレーター直井健さんが手がけたものです。
◆ 平成6年から9年という時代は、いわゆるバブル経済の崩壊直後に当たり、
自・社連立政権、オウム真理教事件、阪神淡路大震災、ダイアナ妃の事故死などなど、
歴史的な大事件が相次いだ時代でした。
◆ 急激な景気悪化により、企業の広告宣伝費が大幅にカットされ、文化芸術関連事業は、
大きな後ろ盾を失っていく、そんな時代でもありました。
そんな中、十条銀座のチラシは、まるで20年前のデパート折込広告のようにアートな、
ほのぼのとした感性あふれるものが作られていました・・・。
◆ ちなみに平成6年歳末福引セールの特賞は、週替りでハワイ旅行、ニューオータニのディナー、
現金500円玉つかみ取り、などが用意されました(上)。
その後も平成9年の歳末福引で現金10万円など豪華な景品が目を引きます。そして、
平成10年の中元福引セール「グアム旅行」を最後に、特賞景品から海外旅行が姿を消すことになります。
以上、平成6年から9年の福引セールのチラシをご覧いただきました。
鮮やかな切り絵をモチーフにした直井さんのデザインは、色あせることなく、
今も気持ちの良い明るさであふれています。
免責クレジットで埋め尽くされた現代の広告に不足しているのは、この自由奔放な明るさなのかもしれません。