十条村役場6.十条三地蔵の秘密~なぜそこに立っていたのか?JUJO GINZA READINGS

公開日:2004-11-24十条村役場6.十条三地蔵の秘密~なぜそこに立っていたのか?

十條村役場

本日も十条村へお越しいただき誠にありがとうございます。
今回は、十条のお地蔵さんについてお話することにいたしましょう…。ふだん何気なく眺め、お地蔵さんの前を素通りしている人も多いのではないでしょうか? 実はお地蔵さんが立っている場所には、特別な意味があったのでございます。さて一体どんな意味があったのでしょうか…。


◆ 昔から十条村には三つのお地蔵さんが立っており、村人の厚い信仰を集めておりました。王子にも「三地蔵」といわれる三つの石地蔵があり、十条のお地蔵さんもその中に数えられることがあります。十条のお地蔵さんで一番有名なのは姥が橋の延命地蔵尊でございましょう。それから東十条駅南口のお地蔵さんも「地蔵坂の地蔵」と称して親しまれております。あともうひとつは「鎌倉街道の地蔵尊」でございます。このお地蔵さんは、かつて稲荷道(区役所通りの元の道)と鎌倉街道(中十条1丁目・島田パン屋さんの前の道)が交差する十字路に立っていましたが、明治時代に造兵廠(現・自衛隊十条駐屯地)の敷地内となってしまい、地福寺(中十条2-1)の門前に移転しました。

 

姥が橋延命地蔵尊

姥が橋延命地蔵尊

地蔵坂の地蔵尊 昔は地蔵坂の降り口に立っていた。

地蔵坂の地蔵尊
昔は地蔵坂の降り口に立っていた。

◆ 前回は小さな神社が祭られていた場所について考えてみましたが、覚えていらっしゃるでしょうか。十条村には「ズシ」と呼ばれる集落が幾つもあって、小さな神社というのは各集落の出入り口近くに祭られていたことが分かったのでございました。さて今回はお地蔵さんが立っていた場所です。ひとつは姥が橋の交差点、ひとつは東十条駅の南口、ひとつは自衛隊敷地内(稲荷公園近く)でしたね。実はこの三箇所、よく考えてみると十条村の集落全部を取り囲む位置にあったのでございます。つまり各集落のすぐ外側には、魔除けの小さな神社があり、更にその外側にはお地蔵さんたちが立っていたというわけです。

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◆ また、3つのお地蔵さんは、集落全体の外側であることに加えて、道の分岐点や、坂道の途中などに立っていました。こうした場所は、村人にとっていわば「村はずれ」のような場所に当たり、例えば旅立つ人を見送る時や神様・ご先祖様などを出迎える時には、必ずこうした場所で見送り、お出迎えをしたのでした。日本全国に残る古くからの伝統行事の中には、村はずれの決まった場所で悪霊や邪気などを追い払う風習が数多く伝わっております。十条のお地蔵さんが立っていた場所とは、正にそういう場所だったのでございます。集落ごとに祭られた小さな神社が魔物の侵入を防ぐ場所であったのに対して、お地蔵さんは神仏や旅人などを見送り、出迎える場所に立っていたというわけでございます。

 

鎌倉街道の石地蔵(一番左) 現在は地福寺(中十条2-1)門前に立つ

鎌倉街道の石地蔵(一番左)
現在は地福寺(中十条2-1)門前に立つ

かつて鎌倉街道の石地蔵が立っていた場所は、 現在、自衛隊十条駐屯地の敷地になっている。 (この位置より20メートルくらい奥の辺りか?)

かつて鎌倉街道の石地蔵が立っていた場所は、
現在、自衛隊十条駐屯地の敷地になっている。
(この位置より20メートルくらい奥の辺りか?)

 


今日は十条のお地蔵さんのお話をいたしました。
なぜそこにお地蔵さんたちが立っていたのか、その理由がお分かりいただけましたでしょうか?

でも、なぜお地蔵さんがその場所に選ばれたのでしょうか。はっきりとした理由は分かりません。
おそらくこの場所が、大切な人やご先祖様を見送る場所だったことと関係があるのではないでしょうか。
地蔵菩薩は、地獄でも天界でも六道すべての世界へ姿を現して衆生を救う仏様と信じられていますから、去り行く者の無事を祈る人々は、まず第一にお地蔵さんを拝んだことと思われます。
出会いと別れを見守る仏様として、お地蔵さんは村人たちの厚い信仰を集めたのでございましょう。

次回もどうぞお楽しみに。またのお越しをお待ちしております。

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